「美緒のこと信じたかったよ」 どくんっ… その言葉にあたしの心臓は飛び上がった。 なんとなく。 意味は分かる。 でも知りたくなくて。 これ以上先は聞きたくなかった。 もう耳を塞ぎたい。 「…光樹…」 もう一度名前を呼んで。 あたしのことをちゃんと見ていて。 ちゃんと捕まえていてよ。 バックの月を眺めている光樹。 光樹の耳もとについている華奢なピアスを見つめるあたし。 沈黙を破ったのは。 紛れもなく光樹の声。