「あの…さ…」



この空気なら言える。

さっき光樹が不機嫌だったのはなんでかって。


今の光樹なら言ってくれそうな気がする。



「こっ………」



"光樹"そう呼ぼうとしたら。



さっきまでのことが頭から消えていった。



言おうとした言葉はごくんと喉を通って戻っていった。





なんで?


どうして切ない顔するの?




どうして…こっちを向いてくれないの?



ねえ、光樹。

あたし、光樹のこと、信じれなくなってく。


唯花とのこと。


あたしはなにも聞いてないよ。