華耶は大地に浴衣姿を見せたのだろうか。
ふとそんな事を思い浮かべて、自分の浴衣をまじまじと見た。

深い紺色に、桜色の花が、至る所にちりばめられている。
お気に入りだった。

だけど、華耶の浴衣を見たら、何だか負けた様な気がした。

馬鹿みたいだと自分でも思う。
けれど、気が付くとそんなことを考えてしまう自分が居た。


「あんた、会計やって」


「……へ?あ……うん」


五十嵐からの突然の命令に少し驚いたけれど、あたしはお金の入ったプラスチックのケースを手元に置いた。


五十嵐は、一本束の中から割箸をとって綿あめを作りだした。

シフォンケーキの型のような形をした機械の中に割箸を何周かさせると、みるみる綿あめが大きくなっていく。
綿あめは真っ白で、甘い匂いを辺りに撒き散らす。


「すみませ~ん」


早速お客だ。

見ると、他のクラスの女の子だった。

次に来たのも女の子。

その次も。その次も。


十三人目にして、ようやく初の男子がやって来た。


男子が綿あめを買うっていうのは抵抗があるのだろうか。

それにしても、妙に女子ばかり並んでいる気がする。