そっくり、ではなく、それは本物の大地だった。


「華耶に見せてあげたいね!」


そんな何気ない美津菜の一言が、あたしの心を締め付ける。


「あっ!姫月!?」


あたしは人込みを掻き分けて、廊下へ飛び出す。

突然の事に驚きながらも、後から美津菜も追い掛けて来た。


「どーしたの!?いきなり走って出て行くからびっくりした!」


「……ごめんね。あたし人混みって苦手で……吐きそうになっちゃって……」


とっさについた嘘。


「そっか……大丈夫?どっかで休む?」


優しく声を掛けてくれる美津菜。
あたしの心には罪悪感が生まれる。


「ありがとう。ごめんね」


「あたしこそ……無理矢理連れてっちゃったし」


美津菜は申し訳なさそうに言う。
本当に悪いのはあたしなのに。

いつまでも忘れられずにいるからいけないのに……。