一時間目の現代社会は、全く耳に入って来なかった。
華耶の話の内容が、気になって気になって、何度も時計を確認しては、あと十分、あと五分などと考えていた。

休み時間、あたしは華耶に呼ばれてベランダへ出る。
生暖かい風が、あたしと華耶の髪を優しく撫でた。


「話っていうのは、昨日の事なんだけど……」


やっぱり、そう心の中で呟いた。


「ごめんね!本当にごめん……。
あたし…本当に酷いことしたよね……」


華耶に酷い事をしたという認識があった事に、あたしは少しばかり安堵の表情を浮かべる。


「あのさ……大地の事、いつから好きだったの?」


あたしは冷静な口調で華耶に問う。
突然そんな質問をされた華耶は、少々戸惑いながらも口を開く。


「……マネージャーになった頃位かな」


「ふーん……じゃあ、あれは嘘だったんだ」


つい早口になってしまう。
落ち着け、そう自分自身に言い聞かせる。


「あれって?」


「応援してるってやつ!」


華耶の鈍さにいい加減イライラしてきた。