涙飴

「分かってるよ。
あんなに付き合いが続いたの、大地君が初めてだった。

それはきっと、大地君が本当にあたしを好きでいてくれたからだと思う。

あたしがいけなかったの。
あたしが、上辺だけの愛しかあげられなかったから。

大地君からの愛を感じれば感じる程、薄っぺらい愛しかあげられない自分が惨めで、どんなに好きになろうと思っても、やっぱり友達の好きな人を奪おうとしてしまう自分が情けなくて……結局あたしから別れを切り出した」



あたしは、表情には出さないでいたものの、正直とても驚いていた。

それは、華耶が思っていたよりもずっと人間的な感情を持ち合わせていたからだ。


華耶はただ楽しいとか、面白いとか、そんな理由で友達の彼氏や好きな人を奪っているのだと思っていたから、華耶の中でそんな葛藤があったとは思いもしなかった。