あたしは、その飴玉を右手の親指と人差し指で摘んでまじまじと眺めた。

五十嵐は、あたしに元気がないと思ってこれをくれたのだろう。


どうしてこんなにも優しいの?

ただの親切?

五十嵐にとってはただの親切だとしても、あたしをこんなにもドキドキさせるんだ。


「あげるって、あたしがあげたんじゃん!」


あたしはそう明るく言って、包み紙の両端のねじりを解き中のピンク色の飴玉を取り出し、口の中にそれを静かに入れた。


口の中全体に広がる苺の甘さは、自然と心を落ち着かせる。


それにしても、五十嵐何処に居たんだろう。

全然気付かなかったな…。



「お前さ…なんで泣いてたの?」


突然の五十嵐の質問に、あたしは思わず口の中の飴玉を飲み込みそうになった。

あたしが何も言わずにいると、五十嵐がまた口を開く。



「もしかして…あいつの事、やっぱりまだ好きなのか…?」