そう思った瞬間、それを肯定するかの様に溢れ出す涙。



…いや、本当はずっと前から分かっていたのかもしれない。

ただ、それを認めるのが怖くて、気持ちに蓋をして目を向けないでいたのかもしれない。



あたしは、無意識のうちに臆病になっていたんだ。



それはきっと……




「織原?」



突然頭上から聞こえた声に、あたしの胸はキュッと締め付けられた。


声の主はあたしの正面に来ると、もう一度あたしの名前を呼ぶ。



「織原、だよな?」


あたしはゆっくりと顔を上げて、それに答えた。



「そうだけど…ていうか五十嵐、華耶に告白されたんでしょ?
どうだったの?
やっぱり、嬉しかった?」


また出た。
あたしの悪い癖。

どうして大事な時に、素直になれないのだろう。