頭の中で駆け巡る不安と焦り。


矛盾した自分に腹が立つ。


好きじゃないと言ったくせに、こんな所に来たりして。

これじゃ華耶と同じだよ。


だけど、あたしの足は一向に動かない。


あたしの目は無意識に、五十嵐の姿を捜している。



今までの記憶が蘇る。


告白の意味を教えてくれたのは五十嵐だった。

辛い時、側に居てくれたのは五十嵐だった。

あたしの支えになってくれたのは五十嵐だった。



胸の奥から、何か熱いものが込み上げる。

所々に見える携帯や懐中電灯の光が揺らぐ。



そして、あたしの瞼に収まり切らなくなった涙が、静かに頬を伝った。



なんで、あたしはこんなにも馬鹿なのだろう。


今頃になって、気付いてしまったのだろう。






あたしは、五十嵐が…好きだ。