「ふーん。
それにしても、本当大地って分かりやすいよね」


あたしは茶化す様に言う。


「…そう?ははっ」

大地はぎこちない笑顔を浮かべている。
そんな姿がなんだかおかしくて、あたしは笑顔を零す。


「まぁ、そこがいい所だよ!」


「なんか無理矢理じゃねぇ?」


「あ、バレた?はははっ」



あたしは自分が今置かれている状況も、ここへ何をしに来たのかも忘れて、ただ笑った。


やっぱり、落ち着く。

たとえそこにはもう『恋愛』という感情がなくても。





「んじゃあ俺、そろそろ帰るわ」


「そっか。じゃあね」


大地はあたしに背を向けると歩き出し、暗闇の中に消えていった。



一人きりとなったあたしの心には、孤独と空虚が広がる。

大地は告白をOKしたのかな。

ふとそんな疑問が頭に浮かぶ。

でもやっぱりまだ華耶の事気にしてるみたいだからな……


『華耶』
その名前が浮かんだ瞬間、あたしはまた考えてしまう。


……五十嵐は、華耶になんて返事をしたのだろう。