涙飴

あたしは、後悔していた。


恋愛橋に一人で来るなんて事程悲しいものはないというのを、身をもって知った。



こんな山奥だから、街灯なんて勿論無い。

だから暗くて良く見えないのだが、なんとなく感じる雰囲気からしてもあたしだけが浮いている気がした。



暫くすると、眼が暗闇に慣れて来て、恋愛橋がうっすらと確認出来る様になった。


恋愛橋は、木製だけど思ったよりもしっかりした造りだった。

長さは見た所１０メートル程はある様だ。
横幅も、乗用車２台は並べるだろう。



それにしても、こんな暗い所で告白なんて、なんか不便な気がするけどなぁ。

だって、キスしたくなってもこんなに暗いんじゃ相手の唇が何処にあるかなんて分からないだろう。


…って、そんな事はどうでも良くて…



あたしは、辺りを見渡してみた。

勿論、華耶と五十嵐の姿を見つける為に。


だけど、そんな真っ暗な中、二人の姿を見つける事など出来るはずもなかった。