振り返ってみると、そこには相変わらず爽やかな笑顔を向ける大地がいた。


「大地じゃん!」


久々に大地と言葉を交わし、自然と声が弾む。


「なんか久しぶりだよな」


大地はそう言ってにっこりと微笑んだ。
やっぱりこの笑顔を見ると安心する。



「そうだよねー。
夏休みの補習が終わってから、まともに会話して無かったもんね」


そう言いながら、あの補習最終日の出来事を頭の中に思い浮かべた。

あれから全然大地と話してなかったんだ。
昔のあたしなら、1週間会話しないだけで不安になっていたのに、知らない間にそんな感情も無くなっていた。


知らない間に大地への恋愛感情はちゃんと無くなっていたのだ。


これも五十嵐のお陰だと、あたしは心の中で五十嵐に感謝をした。