やっぱり楽しい時間は続かないものだ。

この山を1時間かけて登った先に待っていたのは、楽しい時間ではなく、ジャージ姿の華耶だった。



『皆お疲れ様!
もう微熱下がったから来ちゃった。
ここまでは大事をとって車で送ってもらったんだけどね』

そう明るい声で言いながら班の中に入って来る華耶に対し、心からの笑顔を向ける人は1人もいなかった。


それもそうだ。
五十嵐と美津菜はともかく、鳴海と相田はこの前の班での話し合いで、随分くたびれた様子だった。

そんな事があったのに、華耶に心からの笑顔を向けられる訳がなかった。


一応は笑っているが、どこかぎこちなさを感じる。

五十嵐と美津菜に関しては、愛想笑いすらなかったけど。
でもぎこちない笑顔をしているのは、きっとあたしも同じだっただろう。