涙飴

うわっ。
思わずそんな言葉が口から出そうになったが、何とか抑えた。
美津菜の言ってた事は本当だったんだ……。

美津菜を見ると、やっぱり笑顔はなくて、切なげにその光景を見つめていた。


「美津菜…大丈夫だよ！」


あたしのそんな言葉も美津菜には届く様子もなく……ん？
鳴海の視線がこちらに向かっている様な気がする。
正確には、美津菜に向かっている。

やっぱりそうだ。

鳴海は女の子に謝る様な動作をしながら、間をすり抜けて美津菜の前に来た。


「もてもてだね」


美津菜は最初にそう言う。
嫌味っぽく言ってるけど、妬いてるのがすぐに分かる。


「でもあいつらみんな晃正目当てだし」


そう言って鳴海は笑った。


「鳴海目当ての子も居ると思うよ？」


「何だよ慰めかよ！」


何だかもう雰囲気はカップルだ。
二人とも完全にあたしがいる事を忘れている。


「で、何で来たの？」


美津菜、本当は嬉しいくせに。
でも美津菜と鳴海って前はこんなに仲良くなかった気がする。


「あー…班の男子って決まってる？もし決まってないんだったらさ、俺らと組まない？」