涙飴

分かっていたんだ。
まぁ、いつも鳴海と居るもんな。


「……うん。でも美津菜は頑張ったよ。凄い辛かっただろうし」


あたしも大地の時同じような気持ちになったから、辛さは良く分かる。
でも、あたしと美津菜は違う。
あたしは美津菜の様に、素直な感情を出す事が出来なかった。


「ふーん……織原は平気な訳？」


なんであたし？
そう思いながらも五十嵐の言葉に反応するあたしが居た。


「あたしは平気だよ？」


「じゃあ何でそんなに辛そうな顔してんの？」


あたしの顔から笑顔が消える。


「お前……我慢し過ぎだよ。なんでそんなに我慢してんだよ。
もっと素直になれよ」


五十嵐は見据える様な目であたしを見て来る。
あたしはその真直ぐな瞳から逃げたくなったけど、真直ぐ見つめ返した。


「本当は……平気じゃない。
華耶のこと正直信じられない。
何考えてるのか全然分かんないし、一緒に居ても楽しいどころか辛いし……。
今更なのは分かってるけど、あたしの目の前で告白して欲しくなかった。
文化祭の時だって華耶の行動とか言葉とか凄く嫌だった。
今だって、美津菜があれだけ言ってるのに鳴海と話したり、華耶には……大地が居るのに……意味分かんないし……」