五十嵐からのメールだった。心臓がドキンと波をうつ。


「今どこに居るの?……てこれだけ?」


夏休みにアドレスを交換してから、今まで五十嵐とは全くメールをしていなかった。
つまり、これが初メールという訳だ。

あたしは返事を打って送信すると、携帯をパチンと閉じた。



「おい」


暫くして、五十嵐が屋上へやって来た。
右手にはあたしのお弁当がある。


「本当に持って来てくれたんだ」


「はぁ?お前が頼んできたんだろーが。ったく人をパシりにしてんじゃねーよ」


そう言いながら、五十嵐はあたしの隣に腰を下ろす。
渡されたお弁当を、早速食べ始める。
まずは唐揚げを口の中へ入れる。
美味しくて、もう一つ食べる。
隣を見ると、五十嵐がじっとあたしを見ていた。
途端に口の中の唐揚げの味が分からなくなる。


「五十嵐も食べる?」


緊張を隠そうと、そんな台詞を口に出す。


「じゃあ、貰っていい?」


そう言うと、五十嵐はあたしの手に握られた箸を取る。