自分から聞いといてなんだけど、こんな風に言うなんて思っていなかった。

また最低だとか、ムカつくだとかいう台詞を予想していた。


「……で、諦められないんだろ?」


「え?……うん」


「つうかあんたさ、終わらせ方間違ってるよ。
簡単に諦められる恋なんて、本当の恋愛じゃねぇんだよ。
本気だったんなら、そんな簡単に諦められる訳ねぇよ」


五十嵐は真剣に答えてくれてる。
それだけで何か、涙が出そうになった。


「じゃあ……どうすればいいの?」


「ちゃんと告白すればいいんだよ」


当たり前という様に、何のためらいもなくそんな事を口にする五十嵐。


「はぁ!?そんなの無理に決まってんじゃん!!
だってもう華耶と付き合ってるんだよ?」


あたしは教室に響く程の、大きな声をだした。


「だから?別に付き合ってる奴に告白しちゃいけないなんて決まりどこにもないだろ?
九條だって似たような事したんだし」


「でもあたしと大地は付き合ってなかったし、大地はあたしの事何とも思ってなかった訳だし……」


言えば言う程自分が惨めに思えて、それ以上は言えなかった。


「別にいいじゃん。とりあえず、終わりにしたいんだろ?」


そんなあたしに構わず話を続ける。


「でも、今更告白したってフラれるだけだし……」


フラれるのは目に見えているのに、何で……?