顔を洗って、ハルの元へ戻る。
「…… イチゴパフェなんて、どうしたの?」
さっきまで、あたしの目の前にはソフトドリンクだけだった。
でも、トイレへ行っている間に――― なぜか、イチゴパフェが、現れた。
「あれ、ナツ? イチゴパフェ、嫌いだっけ?」
「ううん、好き」
首を横に振り、答える。
ハルは“よかった”と小さくつぶやき、笑みを浮かべた。
「受験を頑張るナツへ、あたしからのご褒美。 ちゃーんと、味わって食べてよね?」
ハルがあたしをファミレスに呼んだ理由が、やっと今、わかった気がする。
あたしが毎日頑張り過ぎているから少しの忠告。
それと、あたしへのエールだ。
席につき、スプーンを持って一口掬う。
甘くて、口の中でゆっくりアイスが溶けていく。


