大学ね、大学……。


「ちゃんと考えているから」


「本当ー? ちゃんと考えなさいよ」


「はーい」


いまだ、進路に関しては迷路の中。


お母さんもお父さんも、あたしの意見はちゃんと聞いてくれるから――― 本当に、早く決めなくてはいけないってわかっている。


「小さい頃は“看護師さん”“お医者さん”って言っていたわね」


お母さんが懐かしむように、目を細めた。


「そうだね」


頭に8歳のあたしから届いた、手紙の一文が浮かんだ。


【何になりたいですか?】


18歳になろうとするあたしは今。

将来、何になりたいの?

どこを目指している?


翔ちゃんは…… 何になりたいのかな?


まだ、あの時二人で約束した“夢”を覚えているだろうか……。