今夜はコロッケ。
ケチャップをかけて食べる。
「電話、どうだった?」
お母さんがあたしと目を合わさずに聞いてきた。
「んーっ、翔ちゃんはいなかった。 まだ帰ってきていなかったんだよ、きっと」
「それ、翔くんのお母さんが言ったの?」
「“翔ちゃんはいない”って言われたけど?」
多少、言葉は違うものの…… 間違ったことは言っていない。
あたしが電話をした時は、確かに翔ちゃんはいなかった。
「お母さんはおばさんに会ってる?」
「最近は会ってない」
「じゃあ、翔ちゃんに最後に会ったのは?」
あたしが最後に会ったのは――― 小学生のとき。
それ以来、1度も会っていない。
低学年のときは、普通に話せていたけど…… 歳を重ねるにつれ、恥ずかしさが増して会う頻度が少なくなった。


