トントンと扉を叩く音がし
そして再び目にした
先生の姿に私の鼓動が
再び高くなった

『お待たせ致しました。生徒がみんな体育館に集まり終業式が始まりましたので、七瀬さんもどうぞ』と
声をかけられ
私と母親は廊下に出る
廊下に出ると肌寒い
風が顔にあたる
『寒くない?』と
母親の問いかけに
私は小さく頷いて歩き出す
静かな廊下は
距離を長く感じさせる
そして外廊下に出ると
生徒のザワザワする
声が聞こえ始めた

私は思い出していた
始めてこの体育館へ続く
外廊下を歩いた時のことを
そしてあの桜の木の下で
彼に出会った日のことを
あれは私に取って
運命だったことを
今は本当に大切に
感じているんだ

そして私は
ゆっくりと目を閉じた