私には知己は大切な友達―
知己がそんな思いを
今まで抱いて私といたことに
私は胸が締め付けられた

そしてそれがきっかけで
知己は私とは話をしなくなり
廊下ですれ違っても
目も合わせてくれなくなった
今まで一緒だった私達―
彼と言うたった一人の男で
もろくも崩れたが
知己を失ってしまってたのに
この時の私には不思議と
後悔ひとつなかった
それどころか知己の気持ちを
知り利用されていたことが
わかっても私は知己を
憎むことには出来なかった

ずっと続くと思っていた友情
知己を傷つけてしまった事実
だけど彼のことだけは譲れない
始めて気付いた感情だった

そして習慣のように
毎日病院へ通うが
日に日に変化する彼の姿に
心苦しい気持ちを感じながら
私は彼の隣でただ彼が
これ以上悲しくならないよう
笑って見せていた

『学校はどう?』と
彼は毎日同じことを
私に問いかける
私はその日1日の学校の
出来事を話すのが日課だ
彼は何も言わずに
真っ直ぐ私を見つめ
話を聞いてくれていた

そして気が付くと
冬も終わりまたひとつ季節が
過ぎようとしている
もう少しで長く感じた
中学1年も終わりを迎える
だけど彼の母親は
目覚めないまま眠っていた