退院して家に帰っても
食事もろくに取らず
渡された薬も不安な時だけ飲む

そして何より大切なもえとの別れ
頑張ってきた陸上までも失い
彼の中で生きてる意味さえ
もうわからずに
ただ毎日脱け殻のように
希望さえもなく
ただ自分に死が迫るのを
ひたすら待つかのように
不安と苦痛の噛み合わせの
生活だったんだ

再び入院生活が始まり
手足の痺れが出始めていたのを
彼は誰にも言えずにいた

そして渡されていた
薬よりも少し強い薬を
服用することになり
副作用で毎日体はだるく
吐き気が出るようになるのも
彼は必死で耐えていた

病院に来てからも
副作用で吐き気が激しく
食事を取ることに苦痛を感じ
彼は病院に来てからも
食事を口にしなかった

今日も置かれた朝ご飯に
手をつけようとしない
彼の姿に真悠は毎日心配で
そして不安な気持ちで
何も出来ずにただ
見ていることしか出来なかった

しばらくすると
看護婦さんが病室に入る
『佐藤さん、食事はどうですか?薬を持ってきましたよ』と
言葉をかけるが
彼は何も言わずに
ただ窓の外を見つめ
身動きひとつしていない