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『すみません、遅くなりまして。初めまして、空太の父の佐藤です』と
直人は頭を下げると
椅子に腰をおろす

『初めまして、もえがいつもお世話になっています。お忙しい所すみません、急にお電話してしまって。あの、空太君はご一緒じゃないんでしょうか?』と
もえの母親の問いかけに
直人は目線を下げる

『実は、お電話さしあげたのは、昨日、もえが空太君に会いに行かなくちゃと言って、突然倒れたて、目を覚ましてからも病院で、空太君に会いに行くとずっと騒いでて。誕生日をお祝いに行ってから、空太君の話題が出ないことにおかしいとは思っていたんですが、色々ありまして、気に止めなかったんですが、昨日は様子がいつもと違って心配になってしまって、ご迷惑を承知でご連絡したんです。私がこうしてご連絡するよりも娘が空太君に会いに行けばいいのでしょうが、今は娘に無理をさせられない事情ですので、私がこうしてお話をさせて頂いていますが、娘には一切何も言わずに来てしまったので、内密にお願いします』と
直人は彼女の言葉を聞きながら
注文し届いた
コーヒーに砂糖を入れ
そして口に少し含み
口をゆっくり開いた