ガラッと病室の扉が開くと
今度は先生が中に入ってくる

『七瀬さん、具合はどうですか?』と
先生の問いかけに
何も答えず布団の中に埋まる

『今、体温を計ったみたいですが、うん熱はないですね。食事のほうは、一口も食べてないみたいですね』と
看護婦さんに聞いたのか
先生は私の様子を話ていた

『七瀬さん、急に倒れちゃうほど、何があったのかな?食事も、このまま取らないと赤ちゃんも可愛いそうよ。今は七瀬さん、一人の体じゃないんだから、もっと責任を持たないといけないわよ。今日は朝一で検査をする予定だったけど、午後からにしましょう。きちんと昼食を取るように』と
先生は言い残すと
病室を出て行った

私は布団からゆっくりと
頭を出すと勢いよく
脇にあるテーブルの上の
携帯を手に取り
そしてメールを開く
ピピピ―――ピピピ―
¨充電して下さい¨と
画面に文字が点滅し音が響き
携帯の画像がピ―と
大きな音と共に暗くなった

病院に行く前の数分しか
充電をしていなかったせいか
携帯の充電がもたなかったようだ

私は再び携帯の電源を入れる
画面は真っ暗なまま
動くことはなかった