テーブルの上には
いつものように
用意された朝ご飯と
父親が食べた後の
お皿が置いてあった
私は回りを見渡して席に座る
母親の姿はどこにもなかった―

私は小さい声で
『いただきます』と
言うと朝ご飯に口をつける
いつもならここで
母親がキッチンから
牛乳を持ってきて
私と一緒に朝ご飯を食べるのに…
今日は一人だった
私は何だかとても寂しく
そして孤独だった

母親は私を嫌いに
なったに違いない…
とてつもない不安な気持ちに
今にも押し潰されそうだった

『起きたの?具合は?』と
今にも泣きそうな
私の後ろから
目を赤く腫らせた
母親が声をかけた

私はそんな母親の
顔を見るなり
席を立ち上がり
母親に抱きついた

『お母さん…ご、ごめんね。お母さん…ごめんね』と
私は何度も繰り返し
そして大きな声で
泣きながら叫ぶと
母親は私の頭を撫で
『お母さんも、もえの気持ちわかるよ。だけどお母さん、もえが一番大事だから、もえには辛い思いをさせられないの。分かってちょうだい』と
母親の言葉は
今の私にはまったく
聞こえなかった