私は母親がいなくなり
再び鏡の前で自分の顔を見て
くるくると一周しながら
お腹回りを気にすると
先に階段を下りた
母親が『早くしなさい』と
階段下で叫んでいた
『わかった』と
私も叫ぶと階段を勢いよく下り
リビングに入ると
父親の姿は既になく
私は椅子に座り
テーブルの上に用意された
朝ご飯に口をつけた

母親はキッチンから
牛乳の入ったコップを
いつものように渡す

『お母さん、もうお父さん仕事行ったの?』と
私が聞くと母親は
ニコニコしながら席につき
『とっくよ。お父さんいつも朝一でゆっくり電車通勤だからね』と
言いながら母親も
朝ご飯を食べ始めた

『ごちそう様』と
私は早々にご飯を食べ
席を立つとお皿を
キッチンに運び
洗面所に向かい顔と歯を洗う

『最近どう?具合悪くならない?』と
母親が私の後ろで
タオルを持ち声をかけた

『あっ、ありがとう』と
タオルを受け取り顔を拭く
『大丈夫だよ。たまに気持ち悪くなるけど、立ちくらみもここんとこないし、やっぱ疲れてたんだよ』と
私は鏡を見ながら
髪にクシを入れた