「日本語、お上手ですね」

「ありがとうございます」

丁寧にお辞儀をする仕草に、品の良さを感じた。


「ジュヨンが、あなたに言いたい事があるって」


「え?」

私、ジュヨンさんを見る。



――パチ。


視線が重なって、思わず、ぎゅっ。

借りたハンカチを握りしめる。



――と。


「――……――…――」


ポツリ、何かをつぶやいた、ジナさんの顔が曇った。


「そのハンカチは……?」

少し暗い声で、ジナさんが聞いてきた。


「えっと……事情があって、借りたんです。あ、洗ってから返しますと伝えて下さい」

「え?」

ジナさん、びっくりした顔をする。


「――…――」

声と同時に、ジュヨンさんがジナさんの肩に軽く手を置いた。


――ズキン。

その瞬間。
ハートがひび割れた気がした。