「ジュ……ヨンさん――っ」


心配そうに、こっちを見ているジュヨンさんが立っていた。


その姿を目にした途端。

ふわっとした、優しい空気に包まれて、一気に涙が溢れ出た。



「ケンチャナヨ?」


ジュヨンさんが、泣きじゃくる私にそう言った。



韓国ドラマでよく聞いている単語――。


『大丈夫?』


私は首を横に振る。



「――……――、――……――」


静かな声で、佐伯くんに、何かを言い残したジュヨンさん。



そのまま、私の手を引いて歩き出した。