え――?
今の、何て言ったの?

日本語ではない、その言葉に、呆然。


すると、ジュヨンさんの後ろにいた男性が、


「皆さん、この度は、ありがとうございました」


突然、そう言った。



――ナースの中に、韓国語が出来る人がいて、その人が通訳をしてくれて……。



この前の、清先輩の言葉を思い出す。



ああ、韓国語だったんだ。

あの人、通訳の人なんだ。



「身元も分からない私を、お世話して下さり、心から感謝しております。
今度、お礼に病院(ここ)でピアノの演奏会を開きたいのですが――…」


通訳の人を通して、ジュヨンさんの意志が伝わる。


「………………」


何だか……やっぱり――。
足長さんとは違う。

同じように、言葉が通じなくても――。

足長さんは近くに感じていたのに、ジュヨンさんは遠い……。


当たり前だけどね。

――寂しいよ。