ふわっ――。
春のそよ風が運んだ奇跡。


もしもあの日、あなたに声をかけずにいたなら……。


もしもあの日、あの道を通らなかったら……。


もしもあの日、車のタイヤがパンクしていなかったら……。



私とジュヨンさんは、今もまだ、別々の人生を歩き続けていたんだろうな――。



言葉も文化も、歳の差も国境も越えた『恋』が『愛』へと変わり。


私にとって初めての『恋愛』になった。




「スクープ!!
 韓国人ピアニスト
 カン・ジュヨン
 日本人女性と結婚!
 運命(ひとつ)の愛」


なんて、テレビや新聞を騒がせるのは、もう少し先の話――。



今はただ――……


「今度はいつ会えるかな……?」

そんな思いでいっぱい。