「(あ……唇、切れてる――)」


ジュヨンさんが、私の頬に触れた。



ド……キン――。



あ、さっき殴られた時の……。


「だ……大丈夫です。これくらい平気――」


言いかけた唇に、ジュヨンさんの唇がそっと重なった。



「――――っ」


ファースト・キス。


ドキドキ、心臓が破裂しそう。



は……恥ずかしいっ。


こ……この後、わ……私、どうすればいいの――っ!!


「(可愛い)」

ジュヨンさんが微笑んだ。



かあぁ……。
もう、未知の世界に失神寸前。


そりゃ、今まで一度も恋をした事がない、ってわけじゃない。


好きな人、憧れの人……。
片思いなら、たくさんしてきた。


でも、自分の気持ちが伝わったのは、生まれて初めて。


22年間生きてきて、こんなに幸せだと感じたのも、生まれて初めて。



「(顔が真っ赤)」

ジュヨンさんが、いちいち過剰反応する私をからかう。


「もうっ」

ジュヨンさんの胸を叩こうとした手首を、きゅっと引き寄せられて。


私はもう一度、ジュヨンさんに抱きしめられた。