そして――。

ピアノの前で立ち止まった。


いつから弾き続けているのか、ジュヨンさんの額には、すごい汗が……。



「ジュヨン……さん」


震える心。
そして、声。


ポロン……ポロ……――


ジュヨンさんの指が止まった。



私は駆け寄る。


「!」

指が……ボロボロ。


「どうしてっ……」

私は、傷ついたその指を両手で包んだ。


こんなに……なるまで……。
ジュヨンさんは、伝えようとしてくれた。


正直な想い――……


それなのに、私は…………。



「ごめんなさい……私……嘘ついてました……ジュヨンさんのこと、迷惑だなんて思ってません。
全部嘘なんです……。
本当は……本当は――――好き」