だけど、いくら待ってもハナさんは現れない。


当たり前だ。
あのジュヨンからの告白。


きっと誤解したのね……。
ジュヨンから私への告白だと――……



ハナさん、違う。
ジュヨンはこんなにも、あなたの事を――……



「(お願い!! もうやめてっ)」


私は思わず、ジュヨンに駆け寄った。



ごめんね……。
本当はあの時、気づいていたの。

病院で、演奏会を開いた日――…


ジュヨンが泣いている彼女に、

お姉ちゃんから貰ったハンカチを、何の迷いもなく差し出した瞬間。


ジュヨンの気持ちの変化に気がついたの。


あなたの中で、終わろうとしている想いと、

新たに始まろうとしている想い――。


それに気づいていて、知らないふりをしたの。


嘘もついた。

ハナさんとまた会いたい、と願うジュヨンに……。

ジュヨンの笑顔を独り占めする、ハナさんに……。


その嘘が、2人を引き離す事になると、分かっていながら――。


本当に、ごめんなさい……。