「だいぶ前、俺、木崎に対して最低な事、言っただろ?」


「……え?」


もしかして、何で私が桂子ちゃんの親友なのか――って言った事?



「あれから、ずっと気になってて……」


佐伯くん、申し訳なさそうに髪をかいた。


「い……いいよ、もう。前に謝ってもらったし……気にしてないから」


私はそう言ったんだけど。


「良くない。今日、そのお詫びをするから。今から、ちょっと出れる?」


佐伯くんが聞いた。


「えっ」

突然の事に戸惑う。


「何か用事でもある?」


「……ない、けど」


私の答えを聞くと、


「とりあえず、行こう」


佐伯くんが真剣な顔で言った。



「う……うん」


私は戸惑いながらも、急いで支度をすると、佐伯くんの車に乗り込んだ。




「あの……どこに向かってるの?」

途中、何回か聞いてみたんだけど、


「着けば分かるから」

って、教えてはくれなかった。