「瞬(しゅん)、南中行かないらしいよ」
香里(かおり)とあたし、二人でブランコに座っていた小学校最後の春。
「え…だって…昨日までは南中って言ってたのに」
香里はだよね、と相槌を打った。
「でもやっぱりサッカーしたいんだって。だからちょっと遠い新中行くみたい」
風が二人しかいない公園を、あたしたちの間を抜けていく。
高原瞬は地元の丘森南中学ではなく、夢を追いかけるために新清中学に行く。
これが高原瞬についての最後の思い出。
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