あの小さな赤ん坊から、本当の父親を奪うなんて、さすがの俺にも出来そうにない。
高宮。
君のコト好きだけど。
誰よりも何よりも、君のコトが好きだけど。
俺は今度こそ君の目の前から姿を消すよ。
今でも君のコトがすきだけど。
きっとこれからも君以上に愛せるオンナには巡り逢えないと思うけど。
俺は君の幸せの為…
その為だけに姿を消すよ。
サヨナラ、高宮。
どうか、どうか、誰よりも幸せに――……。
国際線の飛行機の中。
ブランケットに身を包みながら願っていたのは君の幸せばかりだった。
高宮。
カッコ悪いけどね?
俺はやっとあの時、自分の気持ちにケリをつけることができたんだ。
飛行機の窓から見える、白い雲とどこまでも続く黒い空。
きっとその上に輝いているであろう、幾千の星達に俺はそっと誓った。
側にいるだけが愛じゃない。
奪うだけが愛じゃない。
俺は君から遠く離れたこの場所で、君の幸せを心から祈ろう。
そう…
俺は決意した。



