そこから先は、毎日が24時間じゃ足りないくらいに忙しかった。


溜まりに溜まった、資料へのハンコ押しに、引継ぎ資料の作成。
ホントなら辞表が受理された時点で、広報部のやつらには公表すべきだったんだろうけど……





『心配するな、桐谷!!
オマエの辞任は俺の口からちゃんとアイツらに伝えてやる!!
今は…今は、毎日を大切に生きろ……っ!!』






ナニがどうなってそうなったのかは疑問だけど…
何故か大きな勘違いをしたままの専務に、妙な口止めを受けてしまって。






誤解を解くのもめんどくさいし、黙っていてくれるならそんな楽なことはないしで…。


いろいろ考えた結果、
俺は専務の勘違いにありがたく乗っかって頂かせてもらうことにして、みんなには俺が辞めるということは伏せてもらうことにした。





まぁ…高宮とのコトを考えれば、それが一番いいかのかなぁとも思ってた。





俺が辞めるって知ったら、あのグラグラ女は状況に負けて俺を選びそうな恐れがあったし、淋しさだけで選ばれる危険性だってあっただろ?





辞める、辞めないは置いといて、ちゃんと心だけで選んで欲しかったんだ。






“いなくなるから淋しい”じゃガマンできなかった。





俺しかいない、と思って欲しかった。




高宮にとって。



心の底から求めて、
恋しすぎて
狂える男は俺しかいない、と思って欲しかったんだ…。