―――3日後。







痛むからだと痛む心を引きずって、会社に行くと。





「急な知らせだが…、今月をもって桐谷は辞めることになった。
今月は有給消化という形での辞任となる。」




ちょっぴりずんぐりむっくりの専務が朝礼の時、わざわざうちの部署に来て。
こんなありがたくないことを広報部の皆様にお知らせし始めた。





今まで桐谷慎を呼び出してのお偉いさん方の会議。




どうやら……
会社を辞めたいと辞表を出したカレを何とか引き止めようと、あの手この手で会社側は桐谷慎の気持ちを変えさせることに必死だったらしい。



ほかの人が聞いたらうらやむ地位や名誉。
いろんなものを駆使しても『これは決めたことですから。』の一点張りで、桐谷慎は聞く耳を持たなかったらしい。





『俺がいなくても、あいつらはちゃんとやっていけるはずです。
逆を言えば、いつそうなってもいいように…と、厳しく育ててきたつもりです。
信じてやってください、あいつらを。』




そう言って。
桐谷慎は会社から姿を消した――……。