君を想うとⅢ~True love~



あともう少し。

あともう少しで桐谷慎に会える…!!!!



期待に胸を膨らませながら。
彼に会ったら一番に何を言おうかと悩んでいた頃。







アリストコート9階には、私たちが乗り込んだモノとは違うエレベーター。
2号機が到着してしまっていた――……。








大きなスーツケースをゆっくりと運びながら。





「バイバイ…、高宮。」





そう…呟いて。
桐谷慎はエレベーターの中に姿を消した。









9階に登る私と
1階へと下がる彼。






こんなこと思うのは変なんだけど…

もしもエレベーターが銀色の鉄の箱じゃなく、透明なガラスケースだったなら。




エレベーターがすれ違った瞬間に


『あぁーーっ!!!!!!!!』


って…、気づくコトが出来たのにね。






あと1分。
あと少しの差で……
私たちは永遠にも似た、苦しい別れを経験することになってしまう――……。