君を想うとⅢ~True love~



動かない体にムチを打って、車椅子に乗り込むと。




「ちょっと揺れるけど…そこは我慢ね?」





そう悪魔のように微笑んで。
幸田先生が全速力で車椅子を押し始める。






「ぎゃーっ!!!
怖い!!怖いってば、幸田先生!!!!」


「うるさい!!
この際、怖さなんて関係ないだろ!?」





荒れ狂ったイノシシのように、猛スピードで走る幸田先生。






うぅ…ドS……。







駐車場から全力失踪。
エントランスを突き抜けると……




「あ~!!待って!!
そのエレベーター待って!!!」





アリストコートの2機あるエレベーターの1号機。





女の人が乗り込んで、閉めようと正面を向いた時。


「あーっ!!
お姉さん!!!
ストップ、ストップ、ストップ~!!!!!!」





幸田先生は大声を上げてその行動を静止する。






「えっ!!??」







戸惑う女性。
無我夢中の私たち2人。







怒濤の勢いで乗り込むと。



「あ、ありがとうございますっ!!!」





驚く女の人に深く深くお辞儀をして。
私は9階のボタンをバシンと押した。