動かない体にムチを打って、車椅子に乗り込むと。
「ちょっと揺れるけど…そこは我慢ね?」
そう悪魔のように微笑んで。
幸田先生が全速力で車椅子を押し始める。
「ぎゃーっ!!!
怖い!!怖いってば、幸田先生!!!!」
「うるさい!!
この際、怖さなんて関係ないだろ!?」
荒れ狂ったイノシシのように、猛スピードで走る幸田先生。
うぅ…ドS……。
駐車場から全力失踪。
エントランスを突き抜けると……
「あ~!!待って!!
そのエレベーター待って!!!」
アリストコートの2機あるエレベーターの1号機。
女の人が乗り込んで、閉めようと正面を向いた時。
「あーっ!!
お姉さん!!!
ストップ、ストップ、ストップ~!!!!!!」
幸田先生は大声を上げてその行動を静止する。
「えっ!!??」
戸惑う女性。
無我夢中の私たち2人。
怒濤の勢いで乗り込むと。
「あ、ありがとうございますっ!!!」
驚く女の人に深く深くお辞儀をして。
私は9階のボタンをバシンと押した。



