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「12時……
伊織さんには悪いけど、タイムアウト…ね。
行きましょう、慎ちゃん。」
「………わかった。
じゃあこれだけ。
これだけ置かせてよ。」
桐谷慎が置いたのは…
白い封筒。
この後、私がお守りのように。
肌身離さず持つことになる、大切な彼の欠片(かけら)が、この白い封筒だ。
「慎ちゃん、行きましょう。
プライベートジェットも待たせ過ぎると飛ばなくなっちゃうわ。」
「……了解。
約束……だったもんな、母さん。」
そう言って。
桐谷慎はゆっくりパタンと扉を閉めた。
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「早く!!
早く乗って!!高宮さん!!」
「わ、わかってるわよ!!
これでも一生懸命頑張ってんのよ!?」
その頃の私は。
未だに駐車場で体の痛みと格闘してた。
今は11時58分。
そう…信じて疑わずに。



