窓の外に流れる、都会の喧騒。
流れていく、夜の風景。
車の中に流れる、サンボーンの甘いSAXの音色。
そんな中で…
「ねぇ、先生?」
「ん??」
「聞いてもいい??」
「なに??」
「先生はイブと私を随分比べるのね。」
「あぁ…、気になる??」
「うん、少しね??」
私はさっきから気になっていたことを先生に訊ねた。
イブと私。
大抵イブを知っている人は私と彼女を比べたがる。
早坂さん然(しか)り。
桐谷慎、然り。
でも……
幸田先生はなんだか2人とは見方が違う気がする。
なんでかなぁ。
うまくいえないけれど、早坂さんと桐谷慎は私とイブを同一化して…彼女とはまったく違う私に失望してたフシがある。
(もちろん今はちゃんと“高宮伊織”って人格を受け入れてくれてるんだけども。)
でも…
幸田先生は私とイブの違いを見つけて喜んでるような、ホッとしてるような、そんな気がするんだよね。
だから聞いてみたくなった。
どういう気持ちで私とイブを比べてるのか。



