足早に病院の廊下を歩いて
あっという間に外に出る。
空は漆黒で雲の切れ間に小さな輝く星が、沢山見える。
空気は澄んで、少し風が肌寒い。
「じゃ。ココからまた頑張ってね。」
そう言って開けられた車はアメ車のワゴン。
ぐ……。
絶対イタイよね、これ……。
車椅子から立ち上がって、助手席に乗り込もうとすると声にならない痛みが体中を襲う。
――痛いーっ!!!!
でも隣でニマニマ笑う、ドS医師の前で弱音は吐きたくない。
キュっと唇を閉めて、ヨロヨロゆっくり車に乗り込む。
やっとの思いで助手席に乗り込むと
「へーぇ。根性座ってるねぇ。」
幸田先生は呆れた風で私を見つめる。
「当たり前でしょ。
急がないと時間がないんだから!!」
痛みでボロボロになりながらヨロヨロとシートベルトを掛けにかかると
「いいなぁ。タフで気の強い女は好みだよ。」
ホンキなんだかウソなんだかよくわからない言葉で先生は私をからかう。
「ホント…
イブちゃんとは大違い。」
そしてこんなヒドイ言葉を口にすると、
先生は車をブォンと走らせた。



