痛む体に鞭打って、ゆっくりゆっくり立ち上がる。
少し動くだけで、折れた肋骨がズキズキと突き刺さる。
でも痛みに必死に耐えて、
何度も苦痛に顔をゆがめながら
私はやっとのことで車椅子にたどり着く。
「先生。約束、守ってよね。」
フン!!
どうだ!!
やる時はやるオンナが伊織さんなんですよーだ!!
心の中でアッカンベーをしながら幸田先生に悪態をつくと
「ククッ、参った。」
眉間に手を当てながら、呆れたように先生は笑う。
「ホントに…イブちゃんとは大違いなんだなぁ…。
顔も背丈も、声までそっくりなくせに。」
そう言って幸田先生はマジマジと私を見つめる。
「当たり前でしょ!?
イブと私は別人なんだから。」
あんな人間天使みたいな女の子と一緒にしないでー!!
俗人、高宮伊織が心の中で雄たけびをあげてると
「うん…。確かに。
イブちゃんはもっと清楚でスナオで女の子らしくて可愛かった。」
ウンウンと深く深く頷きながら、幸田先生はこんなイヤミを口にする。



