逃げても逃げても追いかけてくる、セクハラ上司。
大嫌いなはずなのに、拒否できない彼の甘い誘い。


彼の情熱と、彼の隠れた淋しさを知るたびに
私は彼に惹かれていった。


彼の隠れたズルさと人間臭さを見せつけられるたびに
私は彼に溺れていった。


どうしようもなく彼に堕ちていく、自分自身。
愛されることに慣れすぎて、弱くなっていく自分自身。



沢山の汚い私を見てきたはずなのに
目を伏せたい私を、イヤというほど見てきたはずなのに



彼は変わらずこう言い続けてくれた。







『好きだよ、高宮。』







そんな彼をいとしいと
守ってあげたい
支えてあげたいと
そう思うコトに理由なんて何も要らない。





あるのは

『彼が好き』

そんな単純な想いだけなんだ。





待っててね、桐谷慎。
私は、絶対にアンタを幸せにしてみせるから。





今すぐに駆けつけて、
キスして、
抱きしめて、
耳元で愛の言葉を囁いてあげる。





ニッコリと笑って、私の体を抱きしめるカレの顔を思い出し、グッと拳に力をこめると。




「ご心配なく!
私は自分のコトは自分で出来る、強いオンナですから。」



そう…
幸田先生に息巻いた。