逞しい……か。
その言葉は、桐谷慎からよく聞かされたな。
その言葉は大抵、イブと比較して使われる私の形容詞のようなモノで……
初めてイブの存在を知らされた日の朝。
桐谷慎は豪華すぎる朝食を目の前に、
『高宮のそういう殺しても死ななさそうな所…、凄い安心する。』
そう言って私を口説いた。
今思えば…
ヒドい扱いだよねぇ……。
かたや天使。
かたや逞しくて、殺しても死ななさそうなオンナ。
私は戦車か!!?
と叫んでやりたいくらいだよ。
「あれ?反論しないんだね。」
つまらなさそうに口を尖らせる幸田先生に
「そのセリフ。
桐谷慎に言われすぎて、耳タコですから。」
フンッと悪態をつくと先生はクスクス笑いながら私の傍へと近づいた。



