「バカだよな~、俺も。」
センパイはそう言って、あたしの頭をポンポンと叩く。
意外な行動に驚いてフッと彼を見返すと
「一ノ瀬。
白状すると…、お前はカナリ好みだ。」
視線の先にあったのは、あたしに向かって優しく微笑むセンパイの甘い表情。
…はぁっ??
いつも軽口しか叩かないセンパイがこんな頭のかゆいコトを言い出すから、思わず目が点々になって時が止まる。
まばたき一つせず彼の顔をガン見してると
「お前の女の子らしいフワフワな外見は可愛いなと思うし、生意気で肉食女子の典型みたいな内面も正直嫌いじゃねぇ。
多分、伊織に出会わなければ俺はお前に惚れてたと思う。」
そう言って、あたしのオデコを指先でピンッと弾く。
「いたっ!!」
“ちょっと!!何すんのよ!!”
抗議の声を挙げようと彼を睨むと
「だけど…、俺は伊織に出会っちまった…。」
センパイはそう言って、力なく微笑む。



