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スカイライナーの中で悪態をつきあいながら、一ノ瀬とじゃれあっているとあっという間に成田に着いた。
驚いたことに一ノ瀬が乗る便は、俺とまったく同じ航空会社のフライト時間で。
「なんで知ってんだよ!!」
と、問い詰めると
「え?裕吾に聞いたから。」
と、悪びれもせずにサラッと答える。
ゆーうーごー!!!!
ワケのわからない親友の気遣いに、軽い殺意を覚えていると
「センパイ。とりあえず、搭乗手続きしちゃいましょ。」
と、一ノ瀬が俺の腕を引っ張った。
国際空港特有のなんとも言えない雰囲気と
もうしばらくは日本に帰って来れないんだという淋しさ。
今思えば……
アレが全ての引き金だった。
「ごめん、一ノ瀬。」
「…ん??」
「最後に…、伊織に電話していいか??」
登場手続きを終えた後
諦めの悪い俺がかけた1本の電話。
会話することなく、切れてしまった何十秒かのコール音。
「伊織、出ないの……??」
「うん……。
ま、アレだな!!諦めの悪いオトコには付き合いきれねぇってコトかな。」