「お前って……、目的の為には、ほんとに手段を選らばねぇんだな。」



“驚く”を通り越して“呆れる”ほど潔(いさぎよ)い、コイツの思考回路。
この極悪肉食オンナと伊織が親友ってトコロが信じられない。




窓の外に流れる雲と、流れる景色を見つめながら呟くと


「当たり前でしょ?狙った獲物は逃さないのが信条ですから。」


一ノ瀬はニッと笑って俺の肩をポンと叩く。




「覚悟しててね、センパイ。」



やわらかに。
だけどハッキリと告げられた、一ノ瀬からの挑戦状。





「無理。だって俺、今からサンフランシスコ在住だもん。
お前のこと考えてる余裕なんてねぇっつーの。」





距離を理由にすれば諦めんだろ。




正直…さ??
ココロがズタズタに傷ついた今は、人恋しくて、誰でもいいから傍にいて欲しいって思っちまうけど……。
そんな自分の弱さを埋めるためだけに一ノ瀬を利用したくはない。



そう思って。
アイツの手を払いのけながら吐いた言葉は



「ふふっ。ご心配なく。
あたしはあたしで勝手にやるから。
とりあえずのところは1週間部屋に泊めてね。」



アイツの一言であっという間に砕け散る。